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コズミックダンス

健康とは

 健康はお金では買えない宝物です。しかし健康に生活している間は、そのありがたみがわかりません。失ってはじめてその重大さに気づくのです。しかし、健康は失ってから求めてもたやすく取り戻すことはできません。

 病気になれば病院に行けばいいと思いますが、病院というのは健康を売ってくれるお店ではありません。病気の人が集まるところなのです。薬はもちろんとても役立つものですが、あまり過大評価してはいけません。

 薬や病院は、病気の治癒の手助けをしてくれますが、健康を取り戻すことができるか否かは、実はあなた自身の問題なのです。

 「医者は、未だかつて一度も病気を治したことはない!」といえば、そんな馬鹿なと思うでしょうか。ところがよくよく考えてみれば、実はその通りなのです。

 たとえばあなたが転んで腕をケガしたとします。あなたは医者に診てもらいます。医者はそのあなたの腕の患部を消毒し、化膿止めの薬を塗り、包帯を巻き、患部が雑菌の多い外気に当たらないように処置することはできますが、それ以上のことはできません。治すのは、あなた自身の体のもっている自然治癒力なのです。医者はその自然治癒力が働きやっすいように手助けするだけです。

 あなたが自然治癒力を十分に持っていれば、数日もすれば、患部は皮膚が盛り上がり再生してきます。しかし、もしも十分な自然治癒力がなければ、なかなか傷が癒えないばかりか、その傷が元で、別のもっと重い病気になってしまわないとも限りません。

 病気を治す力は、医者ではなく、あなた自身の生命力のはたらきに他ならないのです。良い医者とは、患者の生命力のアシスタント役に徹する医者であるといえるでしょう。

 健康はつかみ取るものです。私たちは、自分の健康は自分自身で責任を持つべきです。病気になってそれを治療するのではすでに遅いのです。あなた自身があなたの体の主治医になるべきです。
 しかし、では「健康」とは一体どんな状態なのでしょうか。

 急に改まってそう質問されると即座に答えるのは難しいものです。

 「病気のない状態」なんて言うのはあまりいい答えとはいえません。なぜなら、私たちがふつう「病気」という場合、何か自覚的症状があるときに限られています。しかし、自覚されない病気もあり、病院の世話にならず、日常生活を人並みの送っているから病気がなく 健康であるとはいえないのです。

 ではどんな状態が健康なのでしょう。

 たとえで説明してみましょう。ここに一個のコップがあります。その中に泥水を注ぎます。泥水を入れたコップは、はじめは不透明です。

 しばらくそのままに放置しておけばどうなるでしょうか。そのうち重い泥は重力の法則により沈殿して底にたまります。水の表面にに近い部分は澄んで透明になり、その中間は半透明になるでしょう。比重によって、重いものは下に沈み、軽いものは表面に浮かび上がるわけです。

 そして、層に分かれ静まっているコップの水にスプーンを入れ、かき回せばどうなるでしょうか。もちろん水はまた不透明な状態になり、しばらくするとまたいくつかの層に分かれます。

 健康体とは、この不透明な泥水の入ったコップのような状態のことです。

 「えっ?透明な状態じゃあないんですか」という質問が聞こえてきそうです。「水清ければ魚住まず」という古いたとえもあるではないですか。

 心は透明な状態が望ましいでしょうが、カラダは不透明でなくてはいけません。

 私たちの肉体は、ちょうどコップに相当します。そしてその中には比重の異なるさまざまなものが納められています。

 古代の人は、それを地・水・火・風・空と表現しました。

 「地」とは、何十兆もの細胞で作られたコップ、つまり肉体です。

 「水」とは血液やリンパ液や脊髄液などの体液です。

 「火」とは熱、つまり36度5分の体温です。

 「風」とは呼吸によって吸い込まれる酸素や、体内で作り出される二酸化炭素などです。

 そして「空」とは、体内を循環している「気」のことです。これらすべてが渾然一体となって体内を循環しているとき、その人体は健康であるといえるでしょう。

 体内に血液が滞りなく循環していることは健康の欠かすことのできない一要素です。もしも、何らかの原因で体内のどこかの部分で血液の循環が悪くなるとそれは紛れもない「病気」です。手足が冷たいということは、手足に血液が十分巡っていないと言うことです。ですからいつも手が冷たい人は、すでにそれだけで病気であるということです。

 血液が、手足の末端まで流れていけば、手足は暖かくなり、それは、体の新陳代謝のはたらきが活発になったことを示しています。

 また呼吸によって私たちは、空気を体内に取り入れています。酸素が呼吸によって肺に吸い込まれ、血液の流れによって全身に運ばれます。また、体内の細胞の作り出す二酸化炭素を吐き出します。

 呼吸は空気を吸い込むだけではありません。呼吸によって私たちは、「気」のエネルギーも体内に取り入れています。「気」こそが生きるための根本的なエネルギーです。「気」も体内によどみなくバランス良く循還させていかなければなりません。

 コズミックダンスは、穏やかな肉体運動と、適度な呼吸法、心のトレーニングによって、体内の血液、空気、熱(体温)、そして「気」の循環を改善し、それによって真の健康体を作り出す実践法です。

 コズミックダンスは、毎日、ほんの短い時間でも続けることが必要です。なぜなら、コップの中の泥水を不透明に保つためには、常に一定の間隔でかき回さなくてはいけないからです。しかしそれは義務ではありません、楽しみです。それこそが本当のレクレイション(Recreation—再創造)といえるでしょう。

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コズミックダンス

コズミックダンスとは

 まず、コズミックダンスという名前から、あなたはどんなイメージを持たれたでしょうか。

 「コズミック」とは、辞書を調べてみると、「宇宙の」とか「広大無辺な」とか「秩序のある」「調和的な」という意味だとわかります。宇宙ダンス??・・・というよりは「調和のダンス」と理解してください。

 一般のダンスとの違いはどこにあるのでしょうか。

 一般のダンスは、表現を目的にしています。つまり、肉体によって「美を」表現するのが第一目的です。客観的に見られることが大切な要素になっています。それに対して、コズミックダンスの目的は表現ではありません。

 コズミックダンスは、「心身の調和のダンス」です。ごくシンプルな、リズミカルな運動をくり返すことによって、心と体のバランスを調整することが目的です。

 コズミックダンスのトレーニングは、注意を自分の肉体の内部に、また周囲の空間に向けます。

 さあ、深く呼吸してみましょう。まずゆっくり息を吐きます。そしてゆっくり息を吸います。呼吸はすでにコズミックダンスです。デリケートに観察していけば、自己の肉体が、呼吸によって周囲の空間とひとつながりになっていることが分かります。

 あなたが周囲の、あなたを包み込んでいる空間を実感し、自然と調和するとき、あなたの表情も、体も自ずから「美」を表現していることに気づくでしょう。本来、ダンスとはそういうものなのでしょう。

 私たちの体は、まさに宇宙に他なりません。大宇宙(マクロコスモス)に対して身体は小宇宙(ミクロコスモス)です。

 自分の体といっても、体の中でどのようなことが行われているか、も私たちは、あまり理解できていません。なぜなら、健康に生活しているときには、体のホメオスタシス、つまり、生理的なさまざまなはたらきが、目立たず、自動的におこなわれているからです。そして、日々の生活に夢中になっていて、自分のからだの中で起こっておることにほとんど注意が向きません。

 病気になったとき、初めて、何か大切なものが失われたことに気づきます。痛みが起こったり不快になったり、発熱したりして、体の内部から警報ブザーが鳴らされたとき、始めて大変なことがおこっていると気づくのです。

 それでは少し遅いのですが、実はそれが、私たちが普段は気にも留めない、肉体内部からの緊急メッセージです。もっともっと早い時期に、穏やかな体が発するメッセージに耳を傾けられれば大問題(病気)にはならないのです。自分の体も、心も、まだまだ未知の領域が大きいということです。

 さて、私たちの体には、宇宙エネルギーが流れています。一般にそれは「気」と呼ばれています。そしてそれこそがまた、生きるための力、「生命力」に他なりません。

 コズミックダンスのレッスンはそうした「気」の存在に気づき、「気」を強化し、コントロールするためのトレーニングです。

 それによって、肉体は本来の若々しさと健康を取り戻します。心はストレスから解放され、自己の内部に秘められていた「直感力」「創造性」などさまざまな能力が次第に開花してくるでしょう。